兵庫津の“住宅地図”を作った前田章賀さん=兵庫区神田町
江戸時代に港町として発展した神戸市の「兵庫津」(現在の兵庫区南部)の明治時代の地籍図に、当時の土地所有者名を書き込んだ「兵庫津三十八ケ町土地台帳名簿録」を、郷土史家の男性が5年がかりで完成させた。1筆ごとに名前が示され、さながら130年前の“住宅地図”のよう。16日まで、同区神田町の「いちばぎゃらりぃ侑香」で展示している。(斉藤正志)同区矢部町の郷土史家、前田章賀さん(68)。
兵庫津は海運拠点として栄え、江戸時代後期の1796(寛政8)年には、約2万人が住んでいた記録もあるという。
前田さんは約15年前から地元の歴史を調べ、現在は神戸史談会副会長を務める。古地図を収集しており、2007年から同名簿録を作り始めた。
法務局で明治10〜20年ごろの登記簿謄本を閲覧し、所有者の名前などを1筆ずつ特定。明治36年の地籍図の6千筆近くある土地に、書き込んだ。
昨年10月に完成した名簿録は、A3判46枚に上る。地域でも有数の名家や豪商の名前があるなど、江戸時代の名残を感じさせる。同時に、江戸時代の住民の屋号や名前を50音順に紹介した「兵庫津人名録」もまとめた。
前田さんは「先祖がこの地域に住んでいた人には、自分のルーツを探る助けにしてほしい。それ以外の人にも、神戸の歴史を感じるきっかけになれば」と話した。
入場無料。午前11時〜午後6時。10日休み。名簿録と人名録は各3千円で販売もしている。いちばぎゃらりぃ侑香TEL361・5055